二十歳のとき、何をしていたか?
またずいぶんと間を空けてしまいました。もう師走ですか。。。
また、いろいろと働く環境が変わってしまいまして、今は一プログラマ、というかアーキテクト兼コンサルタント、という感じのお仕事に移りました。正直、前職(小さいコンサルティングファームにおりました)は、あまり良い会社ではなかったので、ストレスもたまるし、年収もそれほど良くないし、どうしようかと考えてなんとなく転職活動をしてみた結果、現在の会社に移りました。
特に退職エントリは書きませんが(半年ちょっとしかいなかったし)、現在の会社に移ってから1か月少し経って、まったくストレスなく、幸せな日々を送っています。事業自体が自分にとって興味のあるものですし、プログラミングしながら、アーキテクチャや新しい技術に取り組むうえで今後の打ち手とか考えたりしております。いやー、これはね幸せですよ。
というわけで本来のブログの趣旨に戻り、読書日記を書きたいと思います。今回はポパイの特集号「二十歳のとき、何をしていたか?」です。初夏に出たもので、ずいぶん時間が経ってしまいましたが、読んだのは最近なので…。
さて、有名人に取材して、二十歳のころのことを聞く、といえば立花隆が東大でゼミを持っていたときに、ずばりそのままのテーマを実施し書籍にもなっています。こちらは当時かなり話題になりました。
二十歳のころ I 1937-1958 (ランダムハウス講談社文庫)
- 作者:東京大学教養学部立花隆ゼミ,立花隆
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2008/01/07
- メディア: 文庫
二十歳のころ II 1960-2001 (ランダムハウス講談社文庫)
- 作者:東京大学教養学部立花隆ゼミ,立花隆
- 出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日: 2008/01/07
- メディア: 文庫
文庫になっていることは知りませんでした。私は出た当時に買って読んだので、古い版を持ってるはずです。
ゼミの学生と私自身がほぼ同世代なので、当時は面白く読んだ記憶があります。この「当時は」というのが歳を重ねることで身に付けたのだか、失ったのだかよくわからない感覚です。
立花ゼミの「二十歳のころ」は、ゼミの学生が、インタビューしたい相手に対して二十歳のころ、何をしていたか、何を考えていたかを聞くものなのですが、やっぱり人生経験がある人に対して自身が二十歳そこそこの人間が聞きに行くので「教える」「これを伝えておきたい」というインタビュイーの考えが強く出ているのですね。そういう聞き方をしてしまっている、というかどうしても「教えてもらう」スタイルになってしまうのは仕方ありません、学生だから。
出版当時に読んだときには当然自身も学生だったので、違和感はなかったのですが、社会人になってから読んでみると、ちょっとこれはどうなんだ、と感じてしまいます。「なんかモヤっとするなぁ」という感じですね。
この感覚にこたえが見つかったのが、冒頭のポパイの特集本でした。これは、インタビュイーに思い入れだったりゆかりのあるライターが、二十歳のころのことを聞いて書いたものです。人選もより芸能の分野に近くなっているのですが、それよりも根本的に違うことがあります。
こちらは、インタビュイーとインタビュアーが対等なのです。インタビューを咀嚼して書き手が自分の感情も混みで書いているので、正確性はそれほどないと思います。でも、当人どうしが対等なのでフェアな関係性が読み手にも伝わってくる。これは、良質なインタビューには不可欠なものです。
特に岩松了(余談ですが、私はめちゃくちゃファンなので、彼のインタビューが載っているのも購入した大きな理由です)の項では、彼が語るフラフラした自然体の生き様と彼の姿勢を聞き取り、そのまま受け取ってまとめにつなげている。これは何かを学び取りたい、と思っている学生には決してできないものです。「その人のことが知りたい、でも自分は自分で地に足つけて自分の力で生きている存在でもある」という矜持があるように思います。
それってすごく大事だし、好ましい姿勢というか生き方というか、そういうものがあると思うのですね。一方では憧れを持っているものの、他方では自分自身の確立を(必要にせまられて)している途中、というようなバランス。多分それが、大人と子どもを分かつものなのでしょう。
何かすごいものを持っている人に出会ったとき、直線的に「そこから学びたい」と思うのはちょっと短絡的というかナイーブな気がします。純粋に感心して相手のことを知りたいと思うのが普通で、それを深めていった先に(自分にとっての)学びはおのずと見えてくるのではないかと思うのです。