自分の血肉になってしまっている本を再読する、という贅沢

今回は久々の読書記録です。いやー、久しぶりですね。
私事で恐縮ですが、今関わっているプロジェクトから足を洗って、新たなプロジェクトに入ることにしました。まぁ、次もローンチしたばかりのサービスを改善していくこと、温めている新規サービスをローンチすること、これらをシステム面からドライブ駆けていくのが役割になります。
で、既存メンバーからのアドバイスとして「Team Geek」を読んでおいてほしい、ということでした。この本の哲学をエンジニアチームとしては思想として取り入れて運営をしているからと。もともと自宅の本棚にありましたので(意訳:買ったけど積読・・・)、早速空いた時間で読んでみましたが、これは素晴らしい本で開発マネージャーやろうと思うと必読やな・・・と思っていましたが、そこに参照があったのが「ピープルウェア」で、いろいろとサイト見て回って関連して読もうと思ったのが「ウェブ時代をゆく」でした。

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか

Team Geek ―Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか

 
ピープルウエア 第3版

ピープルウエア 第3版

 
ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

 

ウェブ時代をゆく」か、、、懐かしいなと思いながら、会社近くのTSUTAYAで古本(100円でした、100円て…)を購入しました。昔買ったはずですが、もう家の段ボールから見つけるのは不可能っぽいんで(テキトー)。
確かに昔読んだ内容だな、、、と思いながらペラペラとめくっていた手が止まったのは第4章の「ロールモデル思考法」に行き当たったときで、そこには自分の考えと寸分たがわぬことが書いてあり、且つ、めちゃくちゃ懐かしい肌触りがあったのですね。
そうです。これがタイトルに込めた意味であって、昔読んですごく腑に落ちたことが、そのまま自分の思想の一部となってしまい、久しぶりに読んだら「自分と同じ」と感じてしまう現象が発生してしまったわけです。自分の方がコピーで相手がオリジナルなのに。。。
この第4章では、自分のキャリアの志向性を「シャーロックホームズの冒険」を読んでいるときの「私立探偵の存在の在りよう」に心惹かれていたことを思い出し、そこからコンサルタントを志したこと、特に読書をたくさん実施することでいろいろなロールモデルを収集しつつ、何に心惹かれるかを直観に問い続けることなどが書かれています。この辺り、とりあえず関係ない分野や興味ない分野でも本を手に取るようにしている私自身の行動の起源になっているものです。
シャーロックホームズの冒険が好きだったり、本文で紹介されている今北純一の「孤高の挑戦者たち」の生きざまにあこがれるところなど、そもそも梅田さんの志向と私の志向は似ているところがあって、それで鮮明に覚えている箇所でもありました。
そうそう。昔は「探偵になりたい」と言っていましたですね~、私。懐かしい。でも、今でもあまり変わっていない気がします。
ともあれ、2007年末に出たこの本を当時の私はきちんと消化し、自分の志向性として取り込んでいたようです。自分を形作ってきたいろいろな要素を今(40歳)から振り返って確認していくことは恐ろしくもあり楽しくもあり、刺激的な体験です。これからの自分を作り上げるうえでも、こういう体験は貴重だと思う秋の夕暮れでした。

と、いう感じで終わろうと思ったのですが、蛇足と備忘を少し。
梅田さんはコンサル会社のアーサー・D・リトルという会社に入社し、アメリカ西海岸への赴任を直訴して勝ち取ります。このアメリカ滞在が始まるあたりから、新潮社の政治経済情報誌「フォーサイト」での連載を始めます(たしか)。
これが90年代初頭なのですが、そのころ私は10代後半で専門的な内容が多くなりつつあった学校での勉強に不安が募り「政治とか経済とかをきちんとフォローしないと」という思いからフォーサイトを購読し始めます。もちろん最初は難しく、なかなか咀嚼できない記事も多かったのですが、その中で数少ない楽しみな連載が梅田さんの文章だったのです。この連載は「シリコンバレー精神」にまとめられています。

私自身は、システムエンジニアとして社会人になってからもついつい「コンサルタント」の仕事に興味を持ってしまい、結局はコンサル会社に4年ほど在籍することになりました(今は会社を移り、スタートアップ界隈をうろうろしています)。梅田さんの文章は結構、自分に影響を大きく与えているのだなと、今更ながら(40歳…)感じております。

ちなみに2000年代後半に梅田さんが東京で講演会をやったとき、会場に入ろうとして見たことがある人とすれ違ったので会釈したのですが、いつも写真で見ていた梅田さんだったことを直後に思い出した、ということがあります。完全に知り合いのような感じで目を見て挨拶という感じだったので、梅田さんからは「誰だっけ?」と思われたでしょうが…。
いやー懐かしいなー。