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ポール・オースターの手触り

読書日記、と銘打っているにも関わらず本が読めていない…。

仕事に対して、それほど長時間のコミットをしているわけではないのだが、いろいろと会社内部の動向を見つつ、興味・勉強しておきたい分野や書籍をリスト化して少しずつ取り組んでいる。

そんなことやってるとがっつり1冊とか読むような感じにはならず、本を楽しみながら1冊読むというのは、なんと贅沢なことなのだろうと感じる。こういう状況になると現実逃避で小説が読みたい。なんか学生がテスト前にマンガ読みたくなるようなものであるけども…。

そういう状況で、私にとってのもっとも贅沢な読書体験であるポール・オースターの小説について書いてみようと思う。その中でも最初に出会った小説「幽霊たち」である。

これを読んだのは、20歳で実家でぶらぶらしていた時期である。何にもやっていなくて、毎日近くのツタヤの本売り場で長時間ぶらぶらしていた。そこで聞いたことがない作家であったオースターの薄い文庫本を買ってみた。1997年の初夏だったと思う。

読み始めは洒落ていて実験的な小説なのかな、という感覚だったのだが、読み進めるうちに引き込まれていき、最終的には「これは「私」の物語なんじゃないか」と感じるようになった。自分が感じている焦燥感、劣等感、虚無感を繊細に描いている。下品ではなく、そこを正視しているわけでもないのだが、そこに「ある」私の一部だと感じた。

オースターの初期の小説は、それほど長いものではない。ひとつのテーマ、ひとつのシーンを描き出すために小説が存在しているような感覚だと思う。その在り方について、当時も今も私には好ましい。忙しかったり、疲れていたり、「なんか小説が読みたい」と思ったときに帰る場所である。

薄くて、ひんやり冷たい新潮文庫は、私の気分が落ち着く手触りであって、今もよく助けられている。

 

というわけで、まだ不毛地帯を遅々としたペースで読んでおります。あれを読み進めるためにこのブログ始めたようなものなのに…。あれだけは読破しよう。読みだすとすごく進むんですが…。

「日本人にMBAは必要か」という命題

雑な命題ですね。感想は以上です。

 

と、いうのでいいんだが、ま、それはそれで論点があるとは思うので、遠藤元教授の書籍を読めばいいと思う。結論がタイトルになってしまっているので読む必要があまりないわけけども…。

この命題自体は、NewsPicksのイノベーターズ・トークの新シリーズタイトルになっている。

【新】ローソン会長と著名教授が激論「日本人にMBAは必要か」

堀義人氏がコメント欄で、「いいかげんにしてくれ」とつぶやいているが、まぁこれはそうだろうと思う。これまで散々いろんな人に言われて、それでも自分のミッションを信じて大きく育ってきた経営大学院があり、それを「日本人に~」のような極めて粗雑なテーマで語られては呆れてものが言えないだろう。

一応、エクスキューズ入れておくと、私は堀義人氏の思想があまり好きではない。それでも、崇高な(と私のような者でも思う)ミッションをかかげ、それに自分の力を注ぎこんでここまで育ててきた。これからも信じて歩んでいこうとしているわけで、そこについては勇気と実行力がある人物だと感じる。

それに対して、なかなか失礼なタイトルだとは思う。NewsPicksの運営会社であるユーザベースの株主にグロービスは名を連ねていることを考えると、よくこのタイトルを付けたな…と感心する。

しかし、その意図する問題意識についてはわからないわけでもない。日本国内の企業内の扱いもあるし、日本国内のビジネススクールの状況というのもある。北米や欧州などのトップスクールを前提にしている今のMBAの議論は日本ではまるで異なっているわけだ。

このあたりはやはり遠藤元教授の書籍を参照すればよいと思うが、そもそもビジネススクールってそんな大層なものなんだっけ?というところが個人的には気になる。自分でビジネスを管理するにあたって、ビジネスの一通りのことを身に着けることができる、というのがもともとのビジネススクールの主旨だろうと。そうだとすると、大企業管理者向け、中小企業管理者向けというのがあって、必要な人が必要に応じて学べるスクールになっているべきである。

今は、優れた人材をフィルタリングするための仕組みに成り下がっていて、不必要な競争をあえてしているようにしか見えない。起業したい、ビジネスを良くしたい、と考える人が必要なことを身に着けることができる、そんなスクールは今でも必要だと思うし、グロービスの視点はそんな意思を持っている人へ向けられていると思う。

いや、私自身は堀義人氏もグロービスの雰囲気も(体験クラスへ参加した限り)苦手だ。それでもミッションの方向性は正しいし、それを構築し、継続していることは素晴らしいと思う。

やはり、実際に行動している人に理がある、としか考えられない。

あと、「AにBは必要か?」みたいな議論は、テーマに対して不適切な論法を適用している感がある。もちろん当たっていることもあるけれど、不必要だからなんなの?という気がしてしまう。なんだかなぁ。

探偵物語(柄本明、渡辺典子)

探偵物語、と聞いてイメージするのはなんだろうか?松田優作工藤ちゃんとして活躍するテレビ版のドラマか、同じく松田優作薬師丸ひろ子主演の映画版か、どちらかになるだろうと思う。

しかし、ここで私が書こうと思っているのは、そのどちらでもないテレビドラマで、松田優作薬師丸ひろ子が主演した映画版のもう一つの映像化作品である。

主演は渡辺典子と柄本明

最新のWikipediaにはドラマ版の情報が載っているが、数年前までは映画版の情報しか記載されていなかった。覚えている人自体がだいぶ少ないのだろう。私もごくたまに気が向いたときだけ、Googleで検索してみたりという感じだ。

今回もそういうノリでちょっと検索してみたところ、ヒットしたブログを見て驚嘆した。これほど鮮明に覚えている人は初めて見た。

埋もれてしまう名作の堂々たるネタバレ ▽・w・▽|黒猫堂ハンサム日記 ▽・w・▽

これにはびっくりしたが、楽しみながら読ませていただいた。

私は柄本明のファン(日本で一番カッコいいと思う)なのだが、そのきっかけはこのドラマだ。たぶん私が二十歳過ぎのころ、実家へ帰省してテレビをつけたら再放送していたドラマで、何のドラマかわからずに見ていて「探偵物語っぽいスジのドラマだな~」と思ってたら、そうだったという記憶がある。映画以外にテレビドラマが存在することを知らなかったのだ。

で、これはすごくよかった。映画よりも。

原作では、主人公の探偵はもっさりした印象なのだが、柄本明はもうそのまんまである。松田優作もそういう体ではあるのだが、いかんせんあのボディなのでイメージがちょっと違うが、柄本明は当然はまっている。

そして、私自身も忘れていたが、映画とドラマ版は結末が異なる。ネタばれになってしまうが、もう古典に近い映画だし、テレビ版はほとんどの人が知らないので書いてしまうが・・・、薬師丸ひろ子が飛行機で飛んで行っちゃうが、渡辺典子は飛行機に乗らずに待っているのだ。

これは先にあげたブログを読んで思い出した。そうだ、そうだった。。。。

1時間ドラマを4回、という変則的な構成なのだが、再放送で見たために2時間×2日で見た記憶がある。柄本明の頼れる部分がどんどん出てきて、回を経るごとにカッコよくなっていく。

歳をとっていくなら、こんな男になりたい、と思った記憶がある。まだなれていないので、今もそう思っている。

リーダーシップについても至言あり。(「自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れを取る技術」)

自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れを取る技術」を通勤中に読んでいる。それほど分厚い(kindleですが…)本ではなく、長時間はかからない。

自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れを取る技術 | 下園 壮太 | 心理学 | Kindleストア | Amazon

 

もともとはめいろま氏のkindle本値下げtweetを見てポチってみたものだが、これは予想外に良かった(まだ読了してませんが)。

タイトルにもある通り、リーダーの役割についてメンバーのメンタルを維持する観点から記載されている。で、これらが非常に有益なのだ。一例をあげてみよう。

優秀でリーダーとしても一目おいているメンバーに対して、「そのような社員は、無意識のうちに過大な目標を立てて、それに向かって走り続けていることが多い。目標を転換できるのは、上司だけだ。」と説く。

過大な目標を立てて走っているということは、ムリをしているということで、それを続けていると最終的にメンバー自身も、チーム自体も、大きな痛手を受ける。これを避けるためにはムリが大きなダメージにつながる前に、リーダーが動かなければならないということを説得力を持って説明している。

リーダーシップについては様々な書籍が出ており、その手法はさまざまだが、基本的には理想的なチーム状態があり、そこへの到達・維持を目指していろいろなプラクティスを実行する、というものだろう。
しかしながら、その組織にあったビジョンがあり、メンバーに目を配りながら前へ進めるリーダーがいたとしても、やはりメンタルは落ちていくしそのケアが必要になる。それはチームを運営していく中で必ず出てくる課題であって、リーダーがそれに対処する必要があるのだ。各メンバー自身の責任ではなく、マネジメントの責任で対処する必要があることを明確にしていることが、この書籍を他のリーダーシップ本とは異なるレベルに押し上げている。
自分自身もマネジメントをしていることがあるが、このことには無自覚だったと言っていい。非常に大きな学びを得たと感じる。

一読をお勧めしたい。

山崎豊子「不毛地帯」読み始め

妻の祖父が昨年秋に死去した。

葬儀を終えて、いろいろと話を聞いていくうちに、陸軍士官学校を卒業して満州へ行き、シベリア抑留を経て、ビジネスマンとして過ごした人とのことだった。

7年前に結婚の挨拶に行って以来、年に1回くらいは会っていたけれども、詳しいことは聞いたことがなかったので、驚きがあった。いろいろと聞いてみたいことはあったが、やはりというか、戦時中・抑留中のことはほとんど家族にも話していないとのことなので、推しはかるしかない。

そういう状況なので、手始めとして、「不毛地帯」を読んでみることにした。

旧版だと全4巻で、今、2巻に入ったところで、1巻は軍人であった主人公が抑留中に経験したこと、ビジネスの世界に飛び込むまでの経緯、その中で軍用機に携わることに決意を持つあたりまでの話が書かれている。

なんといってもシベリア抑留の話の迫力が圧巻で、たとえ刑務所に服役している罪人であってもこのような扱いが許されるのか…、しかも主人公壱岐戦争犯罪であって、それはソ連内部の法律に則ることが正当とは思えない。そういう中にあって、壱岐を支えているのが、抑留されたごく初期に上官から言われた言葉であったことは印象深かった。憧れみたいなものが少しある。

モデルは伊藤忠商事にいた瀬島龍三氏と言われていて(山崎氏自身は「複数の人物をモデルにしている」と言っている)、瀬島氏についてはロッキード事件でも黒幕として語られているように、どのような考えて物事に影響を及ぼしたのかがいまいちよくわからない人物でもある。戦前からある国体としての「日本」「天皇」を大切にしているのか、それとも私利を追及しているのか(私利が一点目と同一であることも考えられるが…)、それとも会社の利益追求だったのか。単純明解な話ではないにせよ、大まかにはどれかを核にもっていて価値判断を行っていたのだと思う。

小説を1巻まで読む限り、これは列挙した中の最初のものだ。

当然、家族・仲間や、会社、防衛庁にいるかつての仲間などにとって有利な方向に影響力を及ぼすのだが、最終的には「この国のため」という目的に向かうことが、戦死したかつての仲間のため、家族・日本のためとなる、という考えに基づいている。

おそらく、義理の祖父もそのような価値観のもとで生きていたのだろうな、という気がしている。これから残り3巻を読み進めていくなかでその部分に変化が出てくるのか、楽しみな部分でもある。

まぁ、ここまで書いておいてこれまで見てきたドラマを思い出してみると(私は昭和51年生まれで、80年代ドラマから記憶にある)、大なり小なり戦争(太平洋戦争)の記憶がベースにあったような気がする。それは戦争と全く関係ないテーマであってもそうだったような気がする。最近のドラマは一回りしてドラマの方が戦争の記憶を求めていっている感じがある。

そういうのが世論のバランス感覚なのだろう。